β-Health通信 953号掲載(平成16年3月20日号) 〜食事療法で実りある透析生活を Part2〜

たんぱく質(アミノ酸)はどれくらいとればよいのか
たんぱく質は体を作り、維持していくうえに欠かすことができない栄養素です。保存期腎不全のときは腎不全の進行を遅らすためたんぱく制限が必要ですが、透析療法では透析によりたんぱく質(アミノ酸)が失われるため、一般の成人(1日/1sあたり1gのたんぱく質を必要とする)と比較して多くとる必要があります。しかし、たんぱく質を取り過ぎるとリンやカリウムの摂取も多くなるため理想体重1日/1sあたり約1.2gのたんぱく質をとることをおすすめします。たんぱく質には動物性たんぱく質(肉類、魚、卵など)と植物性たんぱく質(大豆、穀類など)がありますがバランスよくとるとよいでしょう。

リンを制限し、骨の合併症を予防しよう。
長期に透析療法をうけている患者さんでは骨がもろくなり、関節が痛くなるなどの症状に悩まされている人も少なくありません。骨塩量が少なくなり背が低くなる人もあります。このような骨合併症は血液中のカルシウム、リン、ビタミンD、副甲状腺ホルモンの代謝や調節がうまくいかないという高リン血症になり、これが原因で発症します。腎不全になるとビタミンDの活性化ができなくなり体のカルシウムが少なくなります。
しかし、カルシウムの調節には活性型ビタミンDなどを摂取する方法がありますが、いま骨合併症でもっとも問題になっているのはリンです。高リン血症になると副甲状腺ホルモンが過剰に分泌され骨がもろくなるなどの問題をおこします。
透析により除くことができるリンの量は限られているため食事で制限する必要があります。ところがリンはほとんどの食品、とくにたんぱく質に多く含まれています。このためリン制限はたんぱく質を制限しなくてはならないというジレンマに陥ります。
高リン血症をふせぐには、リンの摂取量を1日あたり600〜900mgにするのが望ましいとされています。リンを制限するコツは、リンが比較的少ないたんぱく質を必要な量をとることにあるといえます。どうしてもリンを多く摂ってしまう人はリンを便に排泄させる薬を飲まなければなりません。また、治療用の低リン食品を一部用いるなどの工夫が必要です。
なお、乳製品はリンがたくさん含有しているものが多く、特にチーズ類は非常に多いので気をつけましょう。また、骨ごと食べる小魚類はたんぱく質も豊富ですが、リンは特に多いので注意していただきたい。また、食物添加物にもリン酸化合物として多く用いられており、これらがリン摂取量の1/15程度を占めます。食品添加物を確認することも大切です。

カリウムに注意し、高カリウム血症を予防しよう
高カリウム血症になると急に心臓が止まったり、危険な不整脈がでたりして命を落とすことがあります。出血や感染症などで急に高くなることがあり、少し高いぐらいだからといって安心はできません。高カリウム血症の原因は食事にあります。
日常生活において、カリウム含有量の少ない食事を選ぶことに心掛けましょう。カリウムは水に溶ける性質があるので、いも類、野菜類などは茹でこぼしたり、水にさらすことによりカリウムを減らしましょう。
いも類(さつまいも、さといも、じゃがいも、やまのいも等)、果実類(バナナ、メロン等及び果実乾物製品)、種実類(くり、アーモンド、ピスタチオ、ピーナッツ等)は一度でたくさん食べることがあり、カリウムが多く含まれているので特に注意が必要です。




 
 
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